人類学とは
人類学は,「生物としてのヒト」を総合的に研究する学問で,ヒトとは何かを科学的に偏りなく理解し,実証的で妥当性のある人間観を確立することを目標としています。言い換えますと,人間自身について科学的な根拠に基づいた認識を得ることが人類学研究の最終的な目的となっています。それには下記の3つの観点が重要となります。
人類の本質(他の生物種との共通性と異質性,人類の独自性・特質)
人類の変異(集団や個体ごとの違い・ばらつき,およびその意味)
人類の由来(起源と進化・変遷)
具体的には,過去および現在の人類の解剖・生理・発育・運動機能・遺伝・行動・生態・文化,地球における人類の出現と変遷に関わる場所・時代・環境など,また,それらに関する人類と近縁な動物との比較などが研究項目として挙げられます。
現在の人類は「発達した文化を持つ生物種」という特徴を有するため,人類の身体形質を主対象として主に自然科学的観点から「ヒト」を探求する自然人類学と,人類の文化・社会を主対象とし主に人文科学的観点から「人間」を探求する文化人類学とに大別されることが多いのですが,人類学は,上記のように広く,考古学,民族学,民俗学,霊長類学,遺伝学,解剖学,生理学,古生物学,第四紀学,年代学などと接し重なりあった包括的な科学です。
日本人類学会理事会