2012年10月27日(土)[日経新聞朝刊] 縄文人も津波で被災? 宮城・東松島の 貝塚で出土 埋葬の跡なし■付近に津波の堆積層
奥松島縄文村歴史資料館(宮城県東松島市)は、26日、同市宮戸島の東側にある室浜貝塚で縄文時代後期の完全に近い1体を含む9体の人骨を発掘したと発表した。
人骨は、保存状態も良く、10メートルの範囲内でまとまって出土したが、墓坑などに埋葬された形跡がない。欠落部位も多く、動物に囓られたような跡も残っていた。長い間、地表に放置されていたと見られるという。
一方、室浜貝塚から約1.5キロ西に離れた宮戸島西側の里浜貝塚で、同人骨と近い年代に津波に襲われて出来た可能性のある堆積層を確認。室浜貝塚には津波の堆積層こそ確認されなかったが、人骨の見つかった地層の表面は波を受けたように滑らか
だった。
同資料館は、発見された9体の人骨群は縄文時代後期に襲った津波で被災した犠牲者の可能性がある、と話している。