2012年9月27日[ネイチャー]南アフリカの初期ヒト族は景観利用を変えずに食性を 変化させた
形態的に初期ホモ属とパラントロプス属は異なるが、食物でも両者は異なっていたと考えられていた。ホモは幅広い食物を食べるゼネラリストの一方、パラントロプスは植物食を主とした食のスペシャリストとみなされていたが、このモデルが見直される一方、アウストラロピテクスは食性はこれまで不確かだった。
今回、フランスなどの研究チームは、歯のエナメル質に含まれるストロンチウム/カルシウム比、バリウム/カリウム比、ストロンチウム同位体比を分析し、南アフリカのヒト族3属(アウストラロピテクス、パラントロプス、初期ホモ)とも行動圏はさほど変わらなかったのに、食性がかなり違っていたことを示した。フランスなどの研究チームが、英科学誌「ネイチャー」9月27日号に発表した。
食性の幅は、年代的先行者であるアウストラロピテクス・アフリカヌスでは、パラントロプスと初期ホモよりもはるかに大きかった。またパラントロプス・ロブストスは、初期ホモよりも植物に特化した食物を採っていたことも確認された。
ここから南アでは、食性の幅の広かったアウストラロピテクス属のニッチが分割され、そこをアウストラロピテクスよりも多様性の低い食物を消費していたパラントロプスと初期ホモが埋めた、と研究チームは推定している。