２０１２年２月７日（火）［日経新聞朝刊］チンパンジーも困ったら手助け 相手の状況見て行動 京大霊長類研が確認
チンパンジーは相手の状況を理解し、それに応じた手助けをすることが分かった。京大霊長類研究所の山本真也・特定助教らによる研究成果が、７日の米科学アカデミー紀要（電子版）で発表された。
透明パネルで仕切った２つの小部屋にチンパンジーを１匹ずつ入れ、片方の個体には手の届かない所にある餌をステッキで引き寄せる課題とストローで容器内のジュースを飲む課題を与えた。また隣室の個体には課題解決に使うステッキやストローなど７種の道具の入った道具箱を与えた。
仕切りが透明だと後者の個体は、相手の個体の置かれた状況に応じてステッキかストローを隣の個体に正しく選んで渡すことが多かった。反対に仕切りが不透明で隣室が見えないと、適切な道具を手渡せるとは限らなかった。
チンプが相手の要求に応じて、手元の道具を手渡す利他的行動をとることはすでに明らかになっているが、今回の研究でチンプは相手の状況を理解した上で柔軟に利他的行動をとれることが分かったことになる。
