2011年11月28日(月)[ナショナルジオグラフィック公式日本語サイト] ネアンデルタール人は異種交配で絶滅?
2.8万年前にネアンデルタール人が絶滅した原因は、現生人類(ホモ・サピエン
ス)との異種交配だったという研究結果が発表された。アメリカ、アリゾナ州立大学
人類進化・社会変化学部の考古学者マイケル・バートン氏らの研究チームが『Human
Ecology』誌12月号に発表した。
研究チームによると、氷河期の寒冷化をしのぎ、食料やその他さまざまな資源を求
めてネアンデルタール人は、行動範囲を広げていき、各地で現生人類と出会い、交配
が増えてハイブリッドが生まれるようになったことが原因ではないかという。
遺伝子の混合が何世代にもわたると、個体数が圧倒的に少ないネアンデルタール人
のゲノムはしだいに減り、現生人類の中に吸収されていく。異種間の遺伝子流動が進
むと、どちらか一方の種が明確なグループとして識別できなくなり、消え去る場合が
あるという。保全生物学でいう「交配による絶滅」だ。
異種交配の増加による影響を計測するため、研究チームは、ネアンデルタール人1
500世代にわたるコンピューターモデルを開発した。分析の結果、「現生人類によ
る遺伝子汚染のために絶滅した」と判明した。
研究チームは、他の人類種や人類の祖先種も異種交配で絶滅したとも考えていると
いう。