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2011年6月2日(木)[朝日新聞夕刊] 女は旅へ 男は残る 猿人の行動判明

 直立二足歩行を始めた猿人の雌雄別の行動パターンが、歯に含まれるストロンチウムの同位体分析で浮き彫りになった。イギリス、アメリカ、南アフリカなど6カ国の研究チームが英科学誌『ネイチャー』6月2日号に発表した。
  研究チームは、ストロンチウムがエナメル質の形成されるコドモの頃に育った土地の食物に影響されることに注目し、南アの洞窟で見つかったアウストラロピテ クス・アフリカヌスとパラントロプス・ロブストスの計19個体の歯を調べた。 その結果、オスと見られる同一種でもより大型の歯の9割は発見地の周辺の特 徴を備え、より小型のメスと見られる歯の半数以上は、非在地の特徴が見られた。この行動パーターンはメスが育った群れを離れて発見地の群れに婚入してきた ことを想像させ、類人猿ではゴリラよりチンパンジーに近いことが分かった。
 米田穣・東大准教授は、「骨格では解明が難しい社会行動を歯の分析から明らかにしたのは意義深い。また従来説に疑問を投げかける結果で、興味深い成果だ」と語っている。